─仮面─偽りの微笑み

「ふえっ…」



左手の薬指にキラリと輝くリング…小さなダイヤが幾つか散りばめられている。



「ま、とりあえず…俺のモノって証しに」



涙でぼやけた繭璃の視界の中、微笑んだ棗が繭璃の手をとり口づけていた。



「シンプルすぎたかな?」



繭璃の指にはまるリングを撫でた棗が苦笑する。



「…とっても素敵…嬉しいです」



ふるふると首を振ると、繭璃はキラキラと輝く指輪を眺めた。



「可愛いヤツ…」



くすっと笑った棗が、繭璃を抱き寄せ頬に口付ける。



恥ずかしげに微笑む繭璃が、より一層愛しく感じた。



「この先何があってもお前を手放すことはない…だから安心して俺の傍にいろよ繭璃」



「はい…ずっと傍にいます」

< 262 / 268 >

この作品をシェア

pagetop