─仮面─偽りの微笑み

真剣な眼差しを向ける棗に、繭璃も目をそらさず答えた。



ずっと一緒にいたい…心のそこからそう思った。



傍にいろと言われなくても、嫌でも何でも離れたくなんてない。



だって、離れる気なんて更々無いのだから。



「この俺をこんなにしたのはお前だからな…覚悟しろよ?」



ん?と首を傾げる繭璃の耳元で、棗はそっと囁く。



――毎日愛してやるからな



弧を描いた口元から、赤い舌をちらりと覗かせた。



ぶるっと身体を震わせた繭璃が、小さく頷けば「じゃ、早速」と押し倒した。



「きゃっ…またっ!?」



「これでも我慢してるほうだけど?」



さらりと言ってのけた棗は、ちゅっと繭璃の唇を奪った。
< 263 / 268 >

この作品をシェア

pagetop