─仮面─偽りの微笑み
「じゃ…いただきます♪」
「あ…棗さ…ん」
満面の笑みをたたえ、棗は繭璃の首筋に顔を埋める。
「あ、おかわりしていいよな?」
「へっ?お、おかわり?!」
「まっ、イヤとは言わせねぇけどな…」
艶やかに微笑むと、唇を重ねた。
そして、絡まり合って堕ちてゆく…深い所へと。
満ち足りた時間を過ごす2人は幸せだった。
誰よりも何よりも…。
繭璃の前でだけは自然と素の自分でいられる。
偽りの仮面を被る棗が、初めて心からの笑みを見せた。
"もう二度と出会えないだろう大切な存在"
それは繭璃も同じ気持ちだった。
この手を離す事の無いように…そう願いながら2人はキツく手を握りあった。
甘い時間の余韻の中で…。
――end