─仮面─偽りの微笑み
うふふっと笑いながら「なつくんっ」と近づいて来た母さんは、あっと言う間に親父の腕に捕らえられてしまった。
「きゃっ…もうっ劉兒!!」
「棗はもう大人だよ?…こんなのほっときゃいい」
母さんは恥ずかしいのかもがいていたが、親父が腕を解く様子は無い。
「母さん…父さんの相手してやってよ」
やれやれ…何時もこれだ親父の嫉妬心には参るよ。
「じゃあ…俺は行きますよ…またね母さん」
「えっ…なつくん?!」
チラッと親父に目をやると、「じゃあな棗」と一言いって、母さんに何か囁いていた。
頬を赤く染めた母さんを、満足げに見つめる親父。
「お仕置きか…」おれは小さく呟き実家を後にした。