─仮面─偽りの微笑み

「ふっ…いい子だ…じゃあご褒美をやろう」



極限まできていた…平常心を装うのも楽じゃない。



触れたくてたまらなかった、奪いたくてたまらなかった。



そっと閉じた瞳に軽く口づける。



「あっ…んっ」



頬に額に耳元に、口づける度に漏れる甘い吐息。



焦らせば焦らす程良くなるよ繭璃。



そしてお前は俺から離れられなくなるんだ。



いや…それは俺の方か。



愛らしい唇を啄んでやれば、小さくぴくんと跳ねる身体。



吐息と共に薄く開いた唇を、舌でそっとなぞれば更に開く唇。



こんなにも気持ちが高ぶるキスは初めてだった。
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