─仮面─偽りの微笑み
◆理性との闘い

「おはよう」



その柔らかな笑顔に、繭璃の心臓はドキンと飛び跳ねた。



「おっおはようございます///」



「乗れよ」



助手席のドアを開け乗るように促されると、繭璃は吸い込まれるように乗り込んだ。



「あっ…」



棗の香りがふわりと鼻孔をくすぐり、甘いキスを思い出してしまった。



「どうした?顔が赤いけど」



「なっ何でもない…ですっ///」



あははっと笑った繭璃は、恥ずかしさの余りまともに棗を見れず俯いてしまった。



(あたしどうしちゃったんだろう?!)



俯いたまま、もじもじとする繭璃の頬に触れた棗。



「なに赤くなってんだ…なんか思い出したとか?」



「ふえっ!!」



心を見透かされてしまい、変な声を出してしまった繭璃は更に顔を赤くした。
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