─仮面─偽りの微笑み
ぐっと繭璃を引き寄せた棗は、耳元で囁いた。
「ご褒美が気にいったか?」
「んっ…」
耳元にかかる棗の吐息に、繭璃は身をよじり瞳を潤ませた。
「やべーな…」
「…えっ?」
「何でもねーよ…行くか」
「あっ…はいっ!」
ぽっと頬を桜色に染め、潤んだ瞳の繭璃に棗は理性を飛ばしかけていた。
(俺の理性はどこまでもつか…)
じっくり、ゆっくり俺のモノにするつもりなのに。
余裕の無い自分にため息がでる。
甘い香りを漂わす繭璃を今直ぐ抱き締めたい!
棗は"ぐっ"と我慢しハンドルを握りしめた。