─仮面─偽りの微笑み
そして目線を下ろし、美麗の手をとり小さく口づけた。
「綺麗な手なのに、こんなにしちゃって…俺のせいだね、ごめん頑張らせちゃって」
修一は初めから気づいていた、絆創膏だらけの美麗の手に…きっと料理なんてしないだろうに。
その傷が自分の為だと思えば、尚更に美麗を愛おしく感じる。
「ううん、あたしがしたくてしたんだもん!でも、もっとお料理勉強しなくちゃ…」
修一はそっと美麗を抱きしめ、頭にちゅっとキスすると、「期待してるよ?」と微笑んだ。
「うんっ♪」
満面の笑みをたたえた美麗は、とても美しかった。
修一はそんな美麗に「帰ろう」と、一声かけるとテキパキと片付けてしまった。
「修一さん?帰ろうって…もうデートは終わり?!」
さっさと帰ろうとする修一さんの姿に、じわっと涙が溢れ鼻の奥が"つん"とした。
そんなに一緒にいたくないのかな…?