─仮面─偽りの微笑み

美麗が気になったのは、玄関で出されたピンクのふかふかのスリッパ。



「女の子ってみんなこういうの好きでしょ?」



そう言って出されたスリッパ、美麗は一瞬時が止まった。



みんなって、他の誰かもこれをはいたの…?



修一にとっては些細な事かもしれないが、その一言は美麗の心に染みを作ってしまった。



真っ白なシャツに染みがひとつあれば、気になるのは当然のこと。



それと同じように、美麗は"みんな"が気になり、それどころではなくなってしまったのだ。



かと言って、他の女の子がこの部屋に出入りして居るのかなんて、聞く勇気なんて持ち合わせていない。



"キミ以外にもいるよ?"



なんて言われた日には、立ち直れないかもしれない。



「修一さん格好いいもんなぁ…はぁーっ」
< 98 / 268 >

この作品をシェア

pagetop