─仮面─偽りの微笑み
美麗が気になったのは、玄関で出されたピンクのふかふかのスリッパ。
「女の子ってみんなこういうの好きでしょ?」
そう言って出されたスリッパ、美麗は一瞬時が止まった。
みんなって、他の誰かもこれをはいたの…?
修一にとっては些細な事かもしれないが、その一言は美麗の心に染みを作ってしまった。
真っ白なシャツに染みがひとつあれば、気になるのは当然のこと。
それと同じように、美麗は"みんな"が気になり、それどころではなくなってしまったのだ。
かと言って、他の女の子がこの部屋に出入りして居るのかなんて、聞く勇気なんて持ち合わせていない。
"キミ以外にもいるよ?"
なんて言われた日には、立ち直れないかもしれない。
「修一さん格好いいもんなぁ…はぁーっ」