好きが言えなくて



あたしはキミを



あきらめて



彼氏という存在が



初めてできた。



キミによく似て



サッカー部



優しい笑顔



ちょっと天然なところ




彼氏の全てがキミに




そっくりだった。




だからかもしれない。



キミをあきらめたつもりなだけで



本当はキミが



まだ好きなのかもしれない


あたしは最低だ



彼氏とキミを重ねているなんて…



「なぁ、キスしねぇ?」




彼氏と呼ばれる存在の人に



そう言われた



べつに断る理由もない



「ん。いいよ」




それと同時に重なる口唇




…あっ、初めてはキミがよかったな。



なんて思う始末…




今更思ってももう遅い




口唇を舌でつつかれ



口唇を開けろという



サインなのだと思う



あたしは少しだけ口唇を開けた…―



途端に入ってくる彼氏の舌。



まるで待ちわびていたかのよう。



「っん…ぁ」



初めて聞くあたしの甘い声



初めて聞く淫らなオト



初めてはキミがよかったとまた思う。



でも彼氏という存在がキミを少しでも忘れさせてくれるのなら…



彼氏に初めてを捧げるのも悪くはない



これはただの利用にすぎない



利用する側とされる側



それは人の考えで変わる―



今からあたしは汚れるだろう




彼氏がキミだと思いたい




今でもあたしはキミに



恋をする
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