ほらね。【完】
俺たちは桜の木のしたに行って、缶箱を中心に座る。
「なんだか、ドキドキするね…」
「うん」
そぉーっと缶箱を開けると…
「あぁ…」
そこには今でも覚えている“想い出”があった。
三人で撮った写真、カード、三人でとったクローバー。
クローバーはもう、しおれていて、くしゃくしゃになっていた。
「あーあ、やっぱり私のクローバーは駄目かぁ」
落ち込む円佳。
俺のカードもぐしゃぐしゃ。
「あ」
だけど、
「これ…」
瞬が埋めた写真だけは残っていた――……
「なんで…これだけ…」
小さく笑う円佳。
それにつられて俺も笑う。
綺麗に、三人で撮った写真だけ、残っていた。
小さい頃の俺らが、満面の笑顔で映っていた。
「瞬だけ…ズルいなぁー…」
円佳は笑いながら、静かに涙を流す。