ほらね。【完】
俺は風呂から上がったばっかで、体から湯気を出しながら、電話に出た。
「はいもしもし」
『あ、恭…平くん…?』
それは、瞬のお母さんからだった。
「あ、ハイ。こんな時間にどうしたんスか?」
『あ、あのね…しゅ…っしゅん…がっ…うぅぅ…っ』
おばさんの声はなんでか聞き取りにくかった。
電話越しにすすり声が聞こえる。
泣いてんの?
てか、瞬がなに?
「おばさん?どうしたの?」
俺はおばさんに声をかけるも、おばさんはとうとう大声で泣き出した。
はっ?
なにこれ、意味わかんねぇ。
そう思った時、電話はおばさんからおじさんに変わった。
『もしもし、恭平くんかい?』
「あ、はい。そうですけど…」
『すまないね、ウチの女房が』
「あー、イエ。それより、なんですか?」
お風呂上がりだから、少し体が覚めてきた。
早く布団に入って寝たい。
その思いですこし面倒くさかった。
だけど、おじさんの次の言葉で俺はそんなの吹き飛んだ。
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