刑事の秘めごと~仮面編~
「ちと、ひびはいってんな」
写真立てに小さなひびが入っている。多分、犯人があたしの家に侵入してきた時についた傷だろう。
「…菜野香…。姉ちゃん頑張っから、ちゃんと見てろよ…」
写真に笑いかけて、鞄にしまった。
―バタンッ
「お…飯……。って…お前が作ったのか!?」
お風呂から上がった灰は、目を見開いてテーブルに広がる料理を凝視していた。
タオルで頭を拭く手が完全に停止していた。
「そらぁ料理が勝手に出てこない限り、あたし以外いないだろうな」
「あ、ありえねぇ…」
「あ?あたしも女だぞ?料理くらい作るわ」
「は、初耳だ」
「シバくぞてめぇ…」
灰は茫然としながら、席についた。