刑事の秘めごと~仮面編~


「なぁ………」

「は、はい…」

「お前、何でそんなにびくびくして生きてんだ?」


空を見上げながら尋ねると、藤井はポツリと呟いた。


「恐かったんです…」

「恐かった?」


そこで初めて藤井に視線を向ける。藤井は俯いていた。


「はい…。僕も、2年生までは普通に皆と打ち解けていたんです」

「じゃあどうして…」

「あの人が…この学校に来てから、この学校は変わりました…」


藤井は悔しそうに唇を噛み締めている。


優しく温厚な藤井を陥れた人間がいるんだな。こいつは…他人から好かれる事はあっても、嫌われる事なんてあるはずがない。


誰よりも他人に気を配れる奴なんだ。




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