刑事の秘めごと~仮面編~
「灰努先輩!!!枝真先輩はどこに………」
先程救援を頼んでいた特捜の奴等が部屋に入ってきた。
全員目を見開いたまま固まっている。
手にかけられた手錠、乱れた服…虚ろな瞳…。首筋に当てられたカッター。
皆それぞれ怒りを表にして、永山を睨みつけている。
「枝真の様子がおかしい。なんだ…あの目は…」
いつも無表情な凍海も、今回ばかりは心配そうな顔をしていた。
「…枝真に……何をした…」
あの温厚なリーダーから発せられた言葉とは思えないくらいに低く、殺意が含まれた声。
「…くくっ…少し、過去の話しをしただけですよ…」
「…この子にとって、過去は絶対に癒える事のない傷であり、生きる動力だ…。それに触れられれば…枝真は生きていけない…」
ぽつりぽつりと語るリーダーにこの場にいた全員の視線が集まる。
「彼女は私と同じなんですよ…。ただ復讐の為に此処まで来た…違いますか?」
「…っ…………」
永山は枝の顎を持ち上げた。枝の瞳は焦点が合っていない。