刑事の秘めごと~仮面編~


「逃がすな!!」

リーダーの合図で、警察が一斉に走り出す。


俺達特捜メンバーは、枝に駆け寄った。


「枝真!!しっかりするんだ!!」


「……………………」


リーダーが枝の肩を揺するが、その瞳は虚ろなままだ。


「…枝真先輩………」

「…こいつがここまで抜け殻になるとは…」


メンバー全員が枝を心配そうに見つめている。


あんなに強気で、恐れなんか知らないような奴なのに…。


「…っ!!!」


俺は堪らなく、枝に近づいて、リーダーの時より強引に肩を揺すった。


「枝!!いつまで呆けてんだよ!!この馬鹿が!!男女が!!」


何度喧嘩を売っても、枝の表情は変わらない。


「…いつもみたいに…言い返せよ………」


枝を何度も揺すっても、その心に声は届かなかった。



< 173 / 222 >

この作品をシェア

pagetop