刑事の秘めごと~仮面編~
「逃がすな!!」
リーダーの合図で、警察が一斉に走り出す。
俺達特捜メンバーは、枝に駆け寄った。
「枝真!!しっかりするんだ!!」
「……………………」
リーダーが枝の肩を揺するが、その瞳は虚ろなままだ。
「…枝真先輩………」
「…こいつがここまで抜け殻になるとは…」
メンバー全員が枝を心配そうに見つめている。
あんなに強気で、恐れなんか知らないような奴なのに…。
「…っ!!!」
俺は堪らなく、枝に近づいて、リーダーの時より強引に肩を揺すった。
「枝!!いつまで呆けてんだよ!!この馬鹿が!!男女が!!」
何度喧嘩を売っても、枝の表情は変わらない。
「…いつもみたいに…言い返せよ………」
枝を何度も揺すっても、その心に声は届かなかった。