刑事の秘めごと~仮面編~
「…うぅっ…違う…。あたしはっ…あいつとは…」
違うに決まってる…。あたしは…捕まえて牢屋にさえ入ってくれれば…。
『あなたは私と同じですよ』
「っ!?」
『復讐こそが美しい…』
「復讐…なんてっ…」
『そのまま身を委ねればいい…』
「あたしっ…」
聞こえるはずのない永山の声が、あたしを惑わす。
これは幻聴…?それとも…現実…?
また闇に飲み込まれそうになった時、力強い腕に抱きしめられた。
「此処には俺とお前しかいねぇ…安心しろ」
「…ぁ……灰っ……」
自分も同じなんじゃないか…。また闇に捕われてしまうんじゃないか…不安で堪らなかった。
その不安を拭うように、灰に縋り付いた。
灰は痛いくらい強く抱きしめてくれる。
あたしの事…嫌いなくせに…。慰めてくれる。
優しい奴………。
安心したからか、そこでプツンッと意識が途絶えた。