刑事の秘めごと～仮面編～

《枝真side》


「…懐かしいな……」


今もまだそのまま残るこの家は、母さん、父さん、そして…菜野香の4人で暮らしていた家。


思い出が…家族の愛が詰まった場所…。


近所でも噂になる程、仲の良い家族だった。それがあたしの自慢で…そんな家族が大好きだった…。


出来る限りは皆でご飯を食べて、朝起きたらおはようの挨拶をして…。


笑顔や笑い声が絶えなかった。


でも…全ては過去。全てが「だった」なのだ。



笑顔が絶えない我が家。誰もが羨む仲の良い家族。親友以上に信頼していた…妹…。


それはあたしの誇れる全てで…ずっと続く幸せだと思った。あたし達の絆を壊す事なんか…出来ない。


そのはずだった……。あんな事があるまでは…。