刑事の秘めごと~仮面編~
―バタンッ
「菜野香っ!!」
息を切らして、ゆらゆらと足を進める。
泣き崩れている母さんの前には、青白い菜野香が倒れていた。
「…菜…野香…?馬鹿だな…こんな所で寝たら風邪引くぞ……?」
菜野香の横に座って肩を揺さ振る。そんなあたしの姿を見て、警察官も、家族も、やじ馬達も、息を呑んだ。
「なぁ…菜野香…。これ…どうした……?」
声が震える。乱れた服、表になった体から見える無数の刺し傷…。
それから…菜野香の太股を伝う白い液体…。
「…菜野香…お前…何で…何を………」
嫌な予感が頭を過ぎる。これは…暴行……?
「…家族の皆さん、時峰菜野香さんは、連続幼女暴行殺人事件の被害者です」
老けたおじさんがそう言ってペラペラと説明する。