刑事の秘めごと~仮面編~


「…お前のデスクの上、富士山を越える並にやべぇから覚悟しといた方がいいぞ…」


真っ青な顔をした灰を見て息を呑む。


あたしのデスクに何が!?
一体何があったんだ!?


というか………。


「富士山を越える並って…署の天井の高さじゃ富士山の富の字にも届かねぇだろうが!!人の不安煽るなよ!!」


「あ!?物の例えに決まってんだろうが!!気付け!察しろ!空気読め!!」


またいつも通り睨み合う。こんな距離がちょうどいい。


最近のあたしは、灰との距離がすごく近かった気がする。


あげくの果てに、同じベッドで寝てたし…。


灰を…ライバルとは違う存在として認識しようとしている自分がいた。


でもそんなの…絶対に気のせいだ。弱ってたから、誰かに抱きしめてほしかっただけなんだ…。


そうに違いない…。でなきゃ……。


灰を男として…好きなんだと思うわけ無いんだから…。




< 194 / 222 >

この作品をシェア

pagetop