刑事の秘めごと~仮面編~
「…お前のデスクの上、富士山を越える並にやべぇから覚悟しといた方がいいぞ…」
真っ青な顔をした灰を見て息を呑む。
あたしのデスクに何が!?
一体何があったんだ!?
というか………。
「富士山を越える並って…署の天井の高さじゃ富士山の富の字にも届かねぇだろうが!!人の不安煽るなよ!!」
「あ!?物の例えに決まってんだろうが!!気付け!察しろ!空気読め!!」
またいつも通り睨み合う。こんな距離がちょうどいい。
最近のあたしは、灰との距離がすごく近かった気がする。
あげくの果てに、同じベッドで寝てたし…。
灰を…ライバルとは違う存在として認識しようとしている自分がいた。
でもそんなの…絶対に気のせいだ。弱ってたから、誰かに抱きしめてほしかっただけなんだ…。
そうに違いない…。でなきゃ……。
灰を男として…好きなんだと思うわけ無いんだから…。