刑事の秘めごと~仮面編~


「明日…か………」


日付が変わる前、気分転換に署の屋上へ来ていた。


夜風が心地好い。今だけは…嫌な事も忘れられた気がした。


「…永山…………」


お前は必ず捕まえる。その過去に何があったとしても、人の命を奪う権利は誰にも無い。


あの時のあたしは、自分の過去を知られ、酷く動揺してしまった。


もう二度と、あんな失敗をするわけにはいかない。


心を強く持たなきゃいけない。何を言われても迷わずに、あたしはあたしの目的の為に……。


―ガチャン


「げっ…先約かよ」


嫌そうな顔であたしを見るのは、お察しの通り灰だ。


「嫌なら出てけ」

「俺はタバコを吸いに来たんだ。出て行きたくても行けねぇんだよ!!」


灰は不機嫌そうにタバコに火をつける。


「…お前、タバコ吸い過ぎると死ぬぞ」

「あ?そんな吸ってねぇよ」


いや、吸ってると思う。常に吸ってんだろうが。


「…ふぅ〜……」

「…その有毒な煙りをどうにかしろ」


灰の吐いた有毒な煙りが、風に流れてこっちに来る。非常に迷惑極まりない。




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