刑事の秘めごと~仮面編~
「ざまあみろ」
「…今からダイブしないか?」
黒い笑顔を浮かべて、灰の胸倉を掴む。
「…おい、此処からダイブしたら確実に死ぬだろ…」
灰は顔を真っ青にして下をのぞき込む。
「あぁ死ね」
「お前…もう男だよな」
「まあな」
「褒めてねぇよ!!!!」
―ヒュ〜…バンッ!!
二人で言い合っていると、署から見える空に花火が上がった。
「お、花火か!夏だもんなぁ…」
「此処からだと良く見えんだな。あー…金魚すくい出来なかった…」
子供みたいな事を言う灰に少し笑ってしまう。
「あ?何かおかしいか?俺が金魚すくいやっちゃいけないって誰が決めた!!!」
「いや、まだ何も言ってねぇだろ…」
一人でヒートアップしている灰を視界から消して花火を見上げる。
花火なんて…何年ぶりに見たんだろうな…。
「…綺麗だ……」
キラキラ光る花が空を明るく照らす。気付けば、その花に見入っていた。