刑事の秘めごと~仮面編~


「…お前…本当はすごい弱いのな」

「……………………」


弱い…。あたしは弱い。それは自分自身ちゃんと自覚していた。


「泣きたくて…辛くて苦しくて今にも壊れそうなのに…お前は笑う」


隠してたつもりなのに…。なんで分かっちゃうんだろう…。


「…馬鹿だろ…お前…」

「なっ…馬鹿とは失礼…」


言い返そうとしたのに、何も言えなくなってしまう。


理由は明白だった。後ろから、灰に抱きしめられているからだ。


「…一番近くにいたのは俺だぞ…。気付かないとでも思ったか…?」


灰の吐息が耳にかかる。それがくすぐったくて身をよじっても、離さまいと灰の腕に力が入る。


「枝真…」

―ヒュ〜…ドンッ


灰が何かを言いかけたところで、タイミング良く花火が上がった。



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