刑事の秘めごと~仮面編~


「…おい、あれの準備を」


永山は近くの仮面を付けた使用人に声をかけた。あたしと灰は顔を見合わせ、話に耳を傾ける。


「かしこまりました」


仮面を付けた使用人はうやうやしく頭を下げ、いそいそと裏へと向かった。


何かが起こる………。嫌な予感しかしねぇ…。


―パチンッ


照明が突然落ち、会場がざわつく。灰と顔を見合わせる。


「…おい。
どうなってんだよこれ」

「あたしに聞くな!あたしに!これから何かあんだろ…。嫌な予感しかしねぇ…」


小声で灰と言葉を交わしていると、会場の舞台だけ照明がつく。


「本日はお集まり頂きましてありがとうございます。皆様もさぞ楽しみにされていた事でしょう…」


―パチンッ


永山は指を鳴らし、仮面を付けた使用人達を呼び付けた。


「始めよう」


永山の一言で、舞台の上では着々と何かの準備が始まる。


―ガラガラガラガラ


長細い箱に、布をかけたような物が舞台の上に運ばれてくる。







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