刑事の秘めごと~仮面編~
《灰努Side》


「…枝真先輩、たまにああやって泣いてますよね…」

「普段はあんなに気丈に振る舞っているがな。リーダーは事情を知っているみたいだが…」


「…何隠してんだよ…枝の奴……」


三人の呟きは、二人には届かない。


「枝真先輩のそういう所を見ると、守ってあげたくなりますよね」

「…分からなくは無い。普段は男と大差無いがな。あいつも女だ」


…こいつら……。枝の事狙ってんのか…?

枝だぞ?あの男女を?

いつも何かと突っ掛かってきて、暴言を吐き散らす奴だぞ!?


「灰努先輩もそう思いません?」


ニコッと笑って聞いてくるミノを軽く睨みつける。

こいつ…俺に何を言わせたいんだよ。


「灰努先輩にその気が無いなら良いんですよ…ね?凍海先輩?」

「…そういう事だな。俺達相手に…遅れをとって勝てると思うなよ…」

「な、何言って…」


それじゃまるで…こいつらが枝を好きみたいじゃねーか。

冗談か何かか?


ミノと凍海はそれだけ言って、俺から離れて行った。

「ちょっ…お前等!!」


…チッ…何なんだよあいつら!!


リーダーとあいつに視線を向けると、リーダーの手があいつの頭を撫でている。

むしゃくしゃする…。何だよどいつもこいつも…。



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