刑事の秘めごと~仮面編~
奇怪な事件
―ジリリリリリッ
―バキッ
「あー…眠ぃ〜…ってやべ!!」
毎朝毎朝懲りずに目覚まし時計を壊すあたし。
普通に目覚まし時計を止めようとしてもこうなる。
音がうるせーんだもん。そら壊したくもなるわな。
「これで113個目の目覚まし時計がご臨終してんな」
もっと丈夫なのを買おう。うん、そうしよう。
「おはよう菜野香」
写真の中に写る無邪気な笑顔を浮かべた女の子はあたしの妹で、6年前の写真だ。
菜野香は永遠に14歳のまま。菜野香は、連続幼女暴行事件の被害者だ。
まだ中学生だったのに…。菜野香は知らない男に犯され、見るも無残に殺された。
菜野香がどれだけ泣いたか、痛かったか…悔しかったのか…。
あたしには到底理解出来ない程の苦しみだったのだろう。
この犯人はまだ見つかっていない。だらこそ刑事になった。
菜野香への弔いと…のうのうと生きている犯人への復讐の為に…。