刑事の秘めごと~仮面編~
「奈美ぃぃぃぃっ!!」
「どうしてだ…どうして奈美が…」
両親の泣き叫ぶ声が心臓をズキズキと刺激する。
大切な者を亡くした悲しみは、ずっと…永遠に癒される事は無い。
彼等も、ずっとその痛みを背負って生きていかなくてはいけないんだ…。
それがどんなに苦しいか、あたしには分かる。まるで……。
生き地獄だ………。
「枝真先輩!灰努先輩!!」
遠くから騒ぎに駆け付けたミノ達が人だかりを掻き分けて、あたし達に駆け寄ってきた。
「…これは……」
リーダーも人形のように動かない少女を眉間にシワを寄せたまま見ていた。
「ミノ、お前は鑑査係を至急呼ぶんだ」
「はい!」
「凍海、遺体の生死と死亡推定時刻の確認」
「了解しました」
「枝真、灰努は現場検証及び、聞き込み」
「「はい!!」」
それぞれちりぢりになって捜査を開始する。
楽しい温泉旅行だったはずが、残酷で悲しい事件の幕開けになってしまった。