刑事の秘めごと~仮面編~
「…これは…刑事さんにお会いするとは思いませんでしたわぁ」
そう言って入って来たのは、この旅館の女将さんの弓形 花衣さん。
本当に綺麗な人で、旦那さんもいる。
言葉に訛りが入っているが、それがまた弓形さんの美しさを引き出してる。
「弓形さんはいつもこの時間まで仕事を?」
「ええ、明日も早いのですけれど…。おかげで寝不足ですわぁ。って…刑事さんに何を言ってるんでしょう私は…」
気さくに笑う弓形さんにつられてあたしも笑ってしまった。
「弓形さんは寝不足でも肌とか綺麗ですよね。私なんかもうボロボロで…」
気にしてないわけじゃないが…。一応女だからな。
「何言ってるんです?刑事さんもピチピチですわぁ」
「おおおお世辞なんて!」
「お世辞じゃないです。刑事さん、今いくつですの?」
「22です」
「ほらお若い」
いや…あたしの場合、疲労が大きすぎて老化現象が…。