刑事の秘めごと~仮面編~


「…これは…刑事さんにお会いするとは思いませんでしたわぁ」


そう言って入って来たのは、この旅館の女将さんの弓形 花衣さん。


本当に綺麗な人で、旦那さんもいる。


言葉に訛りが入っているが、それがまた弓形さんの美しさを引き出してる。


「弓形さんはいつもこの時間まで仕事を?」

「ええ、明日も早いのですけれど…。おかげで寝不足ですわぁ。って…刑事さんに何を言ってるんでしょう私は…」


気さくに笑う弓形さんにつられてあたしも笑ってしまった。


「弓形さんは寝不足でも肌とか綺麗ですよね。私なんかもうボロボロで…」


気にしてないわけじゃないが…。一応女だからな。


「何言ってるんです?刑事さんもピチピチですわぁ」

「おおおお世辞なんて!」

「お世辞じゃないです。刑事さん、今いくつですの?」

「22です」

「ほらお若い」


いや…あたしの場合、疲労が大きすぎて老化現象が…。




< 67 / 222 >

この作品をシェア

pagetop