刑事の秘めごと~仮面編~
「…何だお前。気持ち悪いぞ?」
怪訝そうにあたしを見る灰をギロッと睨みつけた。
気持ち悪いって何だコラ!!仮にも女に向かって!!いや、仮じゃなくて正真正銘女なんだが…。
「枝真先輩らしくありませんよ!どこか上の空ですし」
「あー…そうか?気のせいだろ」
やばいな…。後輩にまで心配させてどうする。しっかりしろ…あたし。
「…おい、おま…」
「行くぞ」
何か言いかけた灰の言葉を遮って、あたしは旅館へと入った。
灰の奴…。妙に勘が良いからな。没穴掘る前に逃げるが勝ちだ。