刑事の秘めごと~仮面編~


「リーダー、話がある!」


あたし達が本部代わりに使っている部屋に入ると、書類に目を通していたリーダーが顔を上げた。


「やぁ枝真。何か分かったかい?」

「…憶測だが…。今回の事件、犯人は旅館関係者だ…」

「うん。枝真の考えを聞かせて?」


仕事モードのリーダーが、鋭い目付きであたしの言葉を待った。


「この旅館、裏口は14時まで閉まってんだ。理由は、14時までは配送口として使われるからだ」


先程の旅館にあった貼紙を剥がしてきた。それをリーダーに見せる。


「この注意書きは旅館内には沢山貼ってある。知らない人間の方が少ない。だから裏口を利用する人間は少ないんだ。だから…犯人は遺体を裏口に捨てた。配送が終わり、配送車が来ない時間を狙って…」


それでその場にいた全員がハッとした表情を浮かべた。


「…リーダー、私も枝真の考えは正しいかと」


いつからいたのかは分からないが、凍海は今の話を聞いていたらしい。




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