刑事の秘めごと~仮面編~
「…あー暑いー………」
ギラギラと照り付ける太陽が憎らしい。
夏真っ只中。風が吹こうが、扇ごうがただの熱風にしかならない。結局ダメージは自分に反ってくる。
「枝真先輩ーっ!!」
署までの道のりを一人でだらだらと歩いていると、後ろから聞き覚えのある声があたしを呼んだ。
「おーミノ…って…げっ…」
ミノの隣にもう一人、視界にいれるのさえ遠慮したい奴がいた。
「朝から嫌な奴に会っちまった…」
―ブチッ
あたしの中で何かがキレた音がした。決して大きくない堪忍袋の緒が切れた音だ。
「それはあたしの台詞だ!!視界に入ってくんな!!同じ空気すら吸いたくねぇんだよ!!」
「お前が先に視界に入って来たんだろーが!同じ空気が吸いたくなきゃ吸うな!!」
「死んじまうだろうが!!二酸化炭素を吐き出すな!!地球が死ぬだろーが!!」
「じゃあ死ね!二酸化炭素を出してんのはてめぇも同じだろーがよ!!」
……今すぐにでも刑務所に突っ込んでやりたい。無期懲役で一生出て来れないように……。