刑事の秘めごと~仮面編~
「でも、あなたは間違ってる。あなたは身勝手な理由で…小さな命を奪ったんだ!!あなたは知っていたはずでしょう?幸せを奪われる人の気持ちを!!」
弓形さんは辛そうな顔をした。弓形さん自身、きっと後悔していたんだと思う。
それでも…もう引き返せないと…諦めてる。
「…だから奪ったのよ!!幸せを奪ってやりたくて!!憎らしくて!!」
弓形さんは肩で息をしながら、ゆらゆらとあたしに近付いてくる。鋭い刃物を握り締めながら…。
あたしも一歩下がった。
相手は酔っ払いじゃない。ちゃんと意識もある。無防備なままじゃ…。
「違う…。あなたは悲しかったんだ。その悲しみを…気付いて欲しかっただけ…知って欲しかっただけ…。」
―ピチャ…ピチャ…
弓形さんはポロリと涙を零した。