刑事の秘めごと~仮面編~
「あなたはそれを償わなくちゃいけない!!あなたが奪った命と…幸せを奪ってしまった家族と…あなた自身の為にも!!」
「今更…今更遅いのよ!!」
弓形さんが勢い良く走って来た。慌てて風呂場を飛び出す。
―シュッ
「…くっ!!……」
刃物が頬を掠った。血が流れ、頬を伝うのが分かる。
「…っ…まずった…」
下がり過ぎたせいで、女湯ののれんをくぐり、一般客のいる場所まで出てきてしまったのだ。
―キャーッ!!!
その場にいた一般客が騒ぎ立てる。
「何事だ!!って…枝、お前っ!!」
灰が驚いたようにあたしを見ている。多分、タオル一枚だからだろう。
だが、今はそれに構っている余裕なんか無い。