刑事の秘めごと~仮面編~
「…あなたは…本当に大きな罪を犯した…。あなたの辛さを…苦しみを…。関係の無い誰かに負わせてしまった事…」
犯人を抱きしめて背中を優しく撫でた。
本当は優しい心の持ち主だった…。でも…優しいが故に背負い込み、誰にも言えずに傷付いて…。
犯罪者になってしまった。それも、人殺しという重罪を犯して…。
「…あなたは沢山の人間に恨まれ、虐げられる…。でもそれが…あなたへの罰です。それでも強く生きて償うんです…」
弓形さんは黙って何度も頷いた。
もし彼女に…誰か、話を聞いてくれる人でもいい…。その誰かがいたなら…。
こんな事件は起きなかったかもしれない。
「…刑事さん…。私…背負っていきます…。死ぬ事は…逃げる事ですから…」
あたしに頭を下げて、連行された弓形さんの背中は、酷く悲しかった。