それが恋だと知ったから。
「ねぇ、雛乃。」



私の声に雛乃はビクッとして、
手を止める。



「その人の名前は?」



雛乃は俯いて黙りこくる。



「だから、名前。」



静かなままで何も話そうとしない雛乃に、
私はため息をついた。



「はぁ…ねぇ、雛乃?
誰に頼まれたのかは知らないけど、
今回だけだからね?」



そう言うと雛乃は顔をあげて、
笑顔で大きく頷いた。



「沙羅、出来たよ!」



私が話しているうちに、
もう出来上がっていた。



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