黒猫*溺愛シンドローム
「あれって“修ちゃん”のクラスじゃない?ほらっ。手振ってみよっか?おーい…」
「ちょっ…」
何を無邪気に言っちゃってるのかなぁ?コイツは。
「あんた、今は仮にも授業中なんだからね?何バカなこと……」
慌てて駆け寄った私は……
「……っ」
すぐさま、後悔した。
……た…高い。
忘れてたけど、ここは屋上。
校舎は4階建てだから、
つまりは5階の高さにいるわけで…ダメだ。
下を直視できない。
それどころか……
「えっ…浅海さん?どうしたの?」
へなへなと、その場に座り込んでしまった私。
「浅海さん?」
それに合わせてしゃがみ込んで、心配そうに私を覗き込む瞳。
「……ダメなの。」
「へっ?」
「私、高いところは本気でダメなの。」
気づけば、無意識に、
すぐ傍にあった腕を握りしめていて、
「……動けない。」
不覚にも。
情けない姿をヤツにさらすことになってしまった……