黒猫*溺愛シンドローム
「えっ?浅海さんって…“高所恐怖症”なの?」
なぜか、大袈裟に驚く王子。
なんか妙にムカつくけど…。今の私には、頷くことしかできない。
「なんだ。そっかー…だから、あのときも…」
思い当たる節があるのか、何やら1人でぶつぶつ言ってるし。
「じゃあさ、」
……かと思えば、いきなり私のほうに向き直って、
「“木登り”もできない?」
なんとも意味不明な質問をしてきた。
「……はっ?」
「だから、“木登り”。
やっぱり無理…だよね?」
何?なんで、そんな残念そうな顔をしてるわけ?
って言うか、
今時、“木登り”ができる女子高生なんて、そうそういるもんじゃないよね?
「……そっか。残念。
カリンはすごく上手だから、浅海さんもできるかと思ってたのに…」
……おい。
また“カリン”?
いい加減にしてよね。
なんで、猫と私を同じ基準に置くのかなぁ。
もう、呆れて何も言えないよ。
「……まぁ、いっか。」