黒猫*溺愛シンドローム




「このへんでいいか。」




屋上のちょうど真ん中へん。

フェンスからは十分に離れた位置で、王子は私を下に下ろした。


「…ありがと。もう大丈夫…って、ちょっと!」



解放されたのも束の間、



「放してよっ」



王子様は、私を抱えたままその場に座り込んでしまった。



「ここまで来れば、もう怖くないよね?」



私を膝の上に乗せて後ろから抱きしめながら、顔を覗き込んでくる。

ち…近っ。

慌てて顔を伏せた私を、頷いたものだと勘違いしたらしく……



「じゃあ、ひなたぼっこ、始めようか?
授業サボって、わざわざ来たわけだし。」



にっこり笑って、私の肩に顔を預けてきた。



「ちょっ…」



振り払おうにも、手足の自由を拘束されている私には無理なわけで……



「…気持ちいい。」



耳元で囁く声と、
首筋にかかる吐息。


本人は、顔を埋めてるだけで、深い意味はないみたいだけど……



「やっ…」



私の心臓は壊れそうだ。


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