黒猫*溺愛シンドローム




「やだってば!」


力いっぱい叫ぶと、


「……え?」



王子様は顔を上げて、きょとんとしたご様子。

一瞬緩む腕の力。

すかさず、そこから抜け出す私。



「こういうの、嫌なの。」



今は、授業中。

…と言っても“自習”の時間だけど。


面倒だし眠いし…保健室へ行こうとした私を、コイツはいつもの笑顔でひき止めた。

「昼寝にぴったりな場所があるよ」って。


ホイホイついてきた私も私だけどさぁ。……頭が働かないくらい、眠かったのよ。


確かに、いい場所。

教えてくれて感謝だよ?


でもさぁ……



「こんな…無人の密室で…なんでアンタに好き勝手されなきゃいけな…「じゃあ、別のことしよっか?」

「……は?」

「今はひなたぼっこの気分じゃなかったんだね。
……ごめんね。気づかなくて。」


……はい?


「何がいい?お話でもする?」



……ダメだ。こりゃ。


コイツには、全く伝わってない。


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