黒猫*溺愛シンドローム




「……っ」



そして、再び重なる唇。



「んっ?」



……違った。
“重なる”だけじゃない。


熱く…絡まるキス。

深く深く求められて、
侵食されていく。



……何、これ。

なんで私、こんなことされてるんだろう?



初めて、ではない。


と言うか、初めて“された”あの日以来、

コイツはこういうキスをするようになった。


あのときは……

同時に“貞操の危機”が迫ってたから、あんまり覚えてないけど……


いや、はっきり言って思い出したくもないけど。



なんで?

つき合ってるわけじゃないよね?

好き合ってるわけでもないよね?


なのに……

なんで私たちは、平然とこういうことをしてるわけ?


だいたい、さっきの会話からしておかしいでしょ?

“匂い”なんて。


シャンプーとか香水とかならわかるけど、リップだなんて。

毎日近づいてないとわかんな…って、


私、もしかして、


毎日コイツにキスされてる??











「……なんだ。味はしないのか。」



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