黒猫*溺愛シンドローム




「……まだダメ。」



いたたまれなくなって、離れようとした私を、王子は簡単に引き戻した。


「放してっ」

「やだ。」

「な…んでっ…」

「だって、まだ“目覚めのキス”してないじゃない?」

「はぁっ?…って、ちょっと!」



寝起きで。

頭はもちろん、反射神経も鈍っている私。


いとも簡単に、

捕まってしまった―――





「……うん。甘い。」






今日、これで何回目?



< 110 / 310 >

この作品をシェア

pagetop