黒猫*溺愛シンドローム
「……おっと。もうこんな時間だ。」
おもむろに時計を確認すると、
「俺、今の時間の課題を回収しないといけないから、そろそろ行くね。」
王子様は立ち上がった。
「鍵、ちゃんと閉めてきてね。……と、あとでちゃんと返してね?」
そう言って、ここの鍵を私の掌に落として。
これ……
それをまじまじと見ていた私に、
「残念だけど、それはコピーできないからね。ま、浅海さんには必要ないと思うけど。」
……ちっ。見透かされてたみたいだ。
「そうだ。あと……」
まだあるの?
王子は、ドアの手前で足を止めた。
「今日の居残り、俺もつき合うから。」
そして、意味不明なことを口にした。
「……へ?」
「今日の放課後は、委員会も生徒会もないし。ちゃんと、浅海さんが終わるまで待ってる。」
「居残り?なんで?何の?」
私はわけがわからない。
「今、サボった授業の課題。浅海さん、提出できないでしょ?」