黒猫*溺愛シンドローム
バシッと振り払われた手。
突然のことにぽかーんとしている風見歩。
「風見くんって、」
私は冷ややかな視線を向けつつ、口を開いた。
「誰にでもこういうことしてるの?言ってるの?
さすが“王子様”だね。」
手早く帰り支度をしながら、続ける。
「でも、気をつけたほうがいいよ。
女の子は、たいていみんな勘違いしちゃうだろうし、それに……」
喜ぶとは限らない、から。
はっきり言って、私は迷惑この上ない。
「“特別な子”と“その他大勢”は、やっぱり区別するべきだと思う。」
私、何が言いたいんだろう?
ムカつくから、ガツンと言ってやりたいんだけど……
どこか遠慮しちゃうって言うか、はっきりは言えないんだよね。いつも。
とにかく、伝わってくれればいいんだ。
「だから、私には関わらないで…「前から、気になってたんだ。」