黒猫*溺愛シンドローム




バシッと振り払われた手。


突然のことにぽかーんとしている風見歩。



「風見くんって、」



私は冷ややかな視線を向けつつ、口を開いた。



「誰にでもこういうことしてるの?言ってるの?
さすが“王子様”だね。」



手早く帰り支度をしながら、続ける。



「でも、気をつけたほうがいいよ。
女の子は、たいていみんな勘違いしちゃうだろうし、それに……」



喜ぶとは限らない、から。


はっきり言って、私は迷惑この上ない。



「“特別な子”と“その他大勢”は、やっぱり区別するべきだと思う。」



私、何が言いたいんだろう?


ムカつくから、ガツンと言ってやりたいんだけど……


どこか遠慮しちゃうって言うか、はっきりは言えないんだよね。いつも。


とにかく、伝わってくれればいいんだ。



「だから、私には関わらないで…「前から、気になってたんだ。」


< 12 / 310 >

この作品をシェア

pagetop