黒猫*溺愛シンドローム




「……あぁっ、もうっ」



触れ続ける俺の手をバシッっと振り払って、



「もう、嫌っ。気にしないでいられるわけがないじゃないっ」



キッとひと睨みすると、
彼女は何やら、足元にあったカバンを探り始めた。

そして……



「これで、もう手は出ないでしょ?」



取り出したシュシュで、髪の毛をひとつにまとめてしまった。

俺の座る位置とは逆の方向、に。



「……あーあ。」



気持ちよかったのになぁ。……残念だ。


でも、あのシュシュは可愛いかも。

ピンクでもこもこで、黒い髪によく似合ってる。


たまにはそういうのも悪くないか……って、ん?



「……何?まだ何かあるわけ?」



じーっと見ている俺を不審に思ったらしく、不機嫌そうに眉を寄せる彼女。



「浅海さんってさ……」


「?」


「首、白くて細くて綺麗だね。」


「……はっ?」


「見てると、なんか……



噛みつきたくなる。」


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