黒猫*溺愛シンドローム
「はぁっ?あんた、また…何言って……」
言葉の意味を理解するや否や、カァッと、面白いくらいに真っ赤になる彼女。
慌てて、縛っていた髪をほどこうとする手を止めて、
「……ちょっと!な…なんで近づいてくるわけ?」
俺は、吸い寄せられるように“そこ”に顔を寄せていく。
……そう。
今、普段は髪で隠れている彼女の首が、思いっきり露になっている状態で。
それが、俺を何とも言えない気持ちにさせる。
……吸血鬼の気持ちがわかったかも。
「やっ…ちょっ……」
明らかに戸惑って、逃げようとしてるのはわかってるんだけど……
でも、ごめん。
俺の視線はそこに釘付けで。
はっきり言って、周りは見えない。
他のことには気が回らない。
「……ここ、紅いのつけたら、どのくらい残るかなぁ?」
「なっ…」
「あれはどうだった?
この前、胸のとこに付けたやつ。あれはいつまで残ってた?」
「ちょっ…」
「噛み付いたら、俺のものになる……かな?」