黒猫*溺愛シンドローム
「……誰?」
しばらくぽかーんとドアのほうを見つめていた俺は、小さく聞こえた声で我に返った。
「ん?」
「今、誰か来たよね?」
俺の身体を押し退けて、
入り口のほうを確認しつつ、焦ったように俺を見上げる彼女。
……え?あぁ。
「今のは、小沢さん。生徒会の1年生だよ。」
そう言えば、すっかり忘れてた。
ここにいる、って言って抜けて来たんだった。
“何かあった呼びにきて”って頼んで。
そう言えば、今日は一年生しか来てなかったもんなぁ。
大丈夫かな?小沢さん。
「なんで、そんなに呑気にしていられるわけ?
さっき…思いっきり見られた…よね?」
「へっ?何を?」
なんで、彼女はこんなに慌ててるんだろう?
「何を、って……
あ…あんたが、私を“襲おうとしてる”ところ、よ!」
「“襲う”だなんて、ひと聞き悪いなぁ。俺はただ……って、そうだ。途中だったよね?ごめんね。」
「ちょっ…いいっ!続けなくていいからっ」