黒猫*溺愛シンドローム
「おっ。浅海発見!」
今日もよく寝たなー、なんて思いながら、カバンを取りに教室に向かう途中。
「ちょうどよかった」
駆け寄ってきた人物。
「これで帰れる。」
安堵のため息をつく男。
髪はツンツンしてるし、制服は着崩してるし。
派手なくせに、なんとなくミスマッチなのはなぜ?
あー…“顔”か?
いい・悪い、じゃなくて、何て言うか…童顔?
柴犬みたいな“カワイイ”顔してるから、似合わないんだ。きっと。
……どうでもいいけどさ。
「何か用?“ダイスケ”」
コイツに呼び止められる理由なんてないはずだけど。
「……なんで“呼び捨て”?俺、お前に名前で呼ばれるほどフレンドリーじゃないんだけど?」
すっごい嫌そうに、顔をしかめて私を見てるけど……
「だって、フルネーム知らないし。アイツがそう呼んでるんだから“ダイスケ”なんでしょ?」
「おまえねぇ…」