黒猫*溺愛シンドローム



「いーの、いーの。
くるみにはちゃんとわかるから。“好き”が暴走しちゃったときどうなるか。」


「だから、違っ……」


「おっと。もうこんな時間?そろそろ新ちゃんを迎えに行かなきゃ。」



おもむろに時計を確認すると、くるみはカバンを持って立ち上がった。



「風歩ちゃんに負けないように、くるみもいっぱい愛をもらってくるよっ」


「だから、それは……って、まさかこれからデート?
いいの?先輩って今、受験シーズン真っ只中じゃ……」



来月、センター試験だってあるわけだし。



「だいじょうぶ。新ちゃんは頭いいし、何よりくるみの“愛”があれば合格できるからっ」


「あ…そう。」



そんなに自信満々に言われたら、返す言葉はない。

……先輩、可哀想。



「じゃ。風歩ちゃんも補習頑張ってね。…あ。お菓子は全部あげるから。」


「……ありがと。」


「修ちゃんには、くるみは今日は夕飯いらないって言っておいてね?」


「……ハイハイ。」



いつも以上に輝く笑顔を振りまいて、くるみは部屋を出ていった。


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