黒猫*溺愛シンドローム













「……最悪。」



今日の分の課題を終えて、部屋を出て。

さぁ、提出して帰るぞ!と歩き出したとき。



「なんで、いるのかなぁ?」



視界に、ものすごーく嫌なものが飛び込んできた。


そりゃ、ここは生徒会室のすぐ側だよ?

でも、いつも絶対に会わないじゃない?

私が帰る頃にはまだ扉が閉まってて、皆さん中でお仕事中でしょ?


なのに……



「あれっ?浅海さん?」



なんで、今日に限ってそこにいるわけ?



「もしかして、今帰り?」



私に気づいて、嬉しそうに駆け寄って来たのは……



「よかった。今日は一緒に帰れるね。」



たった今、そこから出てきたばかりの“王子様”。



「ちょうど今、迎えに行こうと思ってたんだ。」



いつものようににっこり笑って、さりげなく私の荷物に手を伸ばす。



「さ、行こう?」



そして、当たり前みたいに私のカバンと手を掴んで歩き出した。



……なんで、コイツはこんなに普通なわけ?

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