黒猫*溺愛シンドローム
「なんか久しぶりだよね?こうして一緒に帰るのも…って、浅海さん?何そんなに急いでるの?」
呑気な声を無視して足早に歩く私を、慌てて追いかけてくる風見歩。
カバンも奪い返したし、もちろん繋がれた手も振り払ったし……
コイツと並んで歩く必要なんてない。
って言うか、これ以上一緒にいたくない。
更に歩くスピードを早めた…ものの、
「浅海さん?」
簡単に追いつかれてしまった。
「何?どうしたの?」
心配そうに私を覗き込む。
「さっきから、何か怒ってる?」
……ええ、怒ってますよ。
薄暗い廊下。
玄関まであと少し。
ここまで来る間に、
私はやっと、このモヤモヤとイライラとムカムカの原因がわかったんだから。
「……浅海さん?」